「なかなか眠れない」「夜中に何度も目が覚める」「朝早く起きてしまう」――同じ“不眠”でも、人によって症状はさまざまです。
今回は、不眠の3つのタイプと、その背景について解説します。
不眠の3タイプ
不眠は大きく次の3つに分けられます。これはDSM-5(精神疾患の診断基準)でも、不眠症の診断に用いられている視点です。
1. 入眠障害(寝つきが悪い)
布団に入っても30分以上眠れない状態を指します。
不安が強い人や、考えごとを止められない人に多い印象があります。
臨床の現場では「頭の中で考え事が止まらず、眠れない」と訴える患者さんがよくいます。
個人的な意見ですが、外来患者さんのほとんどが入眠障害を訴える印象です。
2. 中途覚醒(夜中に何度も起きる)
一度眠れても、夜中に目が覚めてしまい、再入眠が難しい状態です。
高齢者や睡眠時無呼吸症候群の人によく見られます。
私の印象では、精神的な要因に加えて加齢や身体的な要因が関係することが多いです。
3. 早朝覚醒(朝早く目が覚める)
予定より2時間以上早く目が覚めてしまい、その後眠れなくなる状態です。
うつ病の患者さんによく見られるパターンで、実際に「朝4時に起きてしまう」という相談は少なくありません。
DSM-5における不眠症の定義
DSM-5では、不眠症は以下のように定義されています。
- 入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒のいずれかがある
- 週3回以上、少なくとも3か月間持続する
- 日中の生活に支障をきたしている
- 他の睡眠障害や精神疾患、薬物・身体疾患では説明できない
不眠症の実際
診断基準では3か月間持続する必要があるとありますが、実際に3ヶ月も眠れないことはかなり辛いはずです。筆者も入眠困難に悩まされた時期がありましたが、1週間でも相当辛く感じました。不眠の原因については、
生活のストレス以外にも不規則な生活習慣や労働習慣、睡眠時無呼吸症候群といった身体疾患も影響すると言われています。ただ睡眠薬を飲むのではなく、原因によって適切に対処することが重要です。
まとめ
- 不眠には「入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒」という3つのタイプがある
- もし長期間続き、生活に支障を感じているなら、専門医への相談がおすすめです
- 不眠への対応や処方薬については、また別の記事で解説いたします
参考文献
- American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5). 2013.



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